トップ «前の日記(2004-08-25) 最新 次の日記(2004-08-27)» 編集

豊田正史のSLとは関係ございません


2004-08-26

_ [] ボブ・ウッドワード「攻撃計画」読了

ようやく読み終わった。イラク戦争開始は2003年3月20日だが、本書を読む限り相当前の時点で、実質的には引き返せなくなっている。開戦1年以上前の2001年11月21日、ブッシュがラムズフェルドに対イラク戦争計画立案を指示してからというもの、ラムズフェルドとフランクスは、効率的な作戦計画をどんどん磨き上げ、実際に部隊を動かして(当然かなりの金がかかっている)準備を進めるし、CIAはCIAで7億ドルもの金をばら撒きながら、イラク国内の情報源にアメリカが確実に攻め込むからと言って、かなりヤバイことをさせている。一応引き返せることを前提に準備を進めてはいるのだが、準備そのものが圧力となり、どんどん戦争以外のオプションがなくなって行く様子がありありと分かる。自然となくなっていったのか、誰かの意思でなくされていったのか。どうも後者のような気がしてならないが、立証は難しいだろう。

確か別宮暖朗の本で読んだのだが、昭和天皇が「動員は戦争を意味しない」と言われたことがあるらしい。で、動員が即戦争になるシステムを作っちゃったのが帝政ドイツであると。しかし、今回のイラク戦争は、だいぶ様相が異なっている。極秘裏に相当の時間をかけて準備をしてはいるが、やると決めてからの攻撃のスピードはとんでもなく速い。戦争計画立案開始から、戦争開始までは1年半近くあったものの、チェイニー、ラムズフェルド、ウォルフォウィッツといった戦争推進派が力を持った体制では、パウエルや慎重派がどれほど頑張っても戦争は止められなかった。ブッシュ自身も慎重ながら結構やる気だったようだ。これではもう、攻撃計画が即戦争を意味しているようなものだ。そう考えると本書のタイトルは秀逸だと思う。

後、ひとつ分かったのは、日本は完全に蚊帳の外だと言うこと。こと戦争に関してはアメリカの政策決定プロセスに影響を与えるような力は日本には一切ないね。それが良いことか、悪いことかはわからないけど。

まあなんにしても、読み終わって良かった。これでようやく、3.5KgのノートPCと一緒にこの分厚い本を持ち歩かなくて済む。


README日記の書き方